CLAPPな人々

A-CRAFT 清水葵 後編

前編はコチラ

前回から引き続きデニムクラフトアーティスト清水葵の紹介を、今回は作品をメインに。まずはデニムダルマの製作を始める以前、切ったデニムをコラージュし、その色の濃淡でモチーフを再現していた初期作品から。モーガンフリーマンや、自身が撮ったシアトルのマーケットの写真をベースにした作品。どれほどの細かい作業が必要かは、写真からでも一目で伝わる筈です。そして初の立体作品となったデニムクロック。これらは三点とも初期の個展の際に大変ご好評頂いた作品です。

この頃の製作方法は自ら決めたモチーフや、依頼を受けたモチーフに対し徹底的に知識を掘り下げてイメージを湧かしながら作品にしていくという方法。「ネイティブアメリカンをモチーフにした作品を」という依頼があれば徹底的にネイティブアメリカンの歴史や文化の背景を様々な角度から学び、「涙の道」と呼ばれるチェロキー族の強制移動という歴史上の出来事をテーマに作品を生み出しました。この作品はデニムではなく全て紙素材を使用した、ある意味で貴重な作品となります。

 

デニムとレザーパッチを使用したデニムフラワーはガーデンフェスティバルというイベントでの展示の際に製作。ドライフラワーとの相性が抜群に良く、今後様々な展開を考えているそう。もしかすると当店にて購入可能になる日も来るかもしれません。その際は是非ご自宅に。来客者からの評判については既に自宅に飾っている僕が100%保証しますよ。

今や代表作となったデニムダルマ。初期の作品は現在の物と表情が若干異なります。達摩の素体は全て神奈川県平塚市にて製作される相州達摩を使用しています。

“相州達摩とは神奈川県平塚市で作られている伝統的なだるまです。眉は鶴、髭は亀で千年も万年も生きる長寿を、口は霊峰富士を、口髭は富士山の稜線を著しています。恐い表情ながらどこか和やかな顔が相州だるま。赤い衣に丁寧に描かれた豪華な模様は、親しみ深い雰囲気を持ち合わせています。”

大きなターニングポイントとなったこの相州達磨との出会い。デニムダルマをよく見て頂くと眉鶴や口富士など、決してその伝統を壊す事無く作られている事にお気付き頂けるかと思います。僕はそこに素体を製作する職人さんへの葵の深い敬意を感じると共に、彼のそういった人間性に強く魅力を感じます。

アップデートを重ねた現在のデニムダルマ。デニムではない生地も使用したツートーンの作品はこの度開催されます台湾での個展に向けた作品です。配色や、解体したデニムのどの部分を達摩のどこに使用するかなど、細部にアーティストとしてのセンスを、その製作工程の大変な細かさや道具への拘りからはクラフトマンシップを強く感じます。そんな葵のセンスとクラフトマンシップの掛け算によって生まれるデニムダルマ。将来、被乗数も乗数も大きくなったその掛け算はどんな素晴らしい作品を見せてくれるでしょう。

 

「すべての人が道を知っている。わずかな人だけ道を歩いている」

達摩大使が残したとされるこの言葉。デニムクラフトアーティスト清水葵は確実に自分の道を歩いています。その道がどこまで続いているのか、僕は楽しみでなりません。

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